道後温泉2050ビジョン
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 道後温泉は、3千年の歴史を誇る日本最古の温泉地として全国に知られていますが、明治27年、道後湯之町の初代町長 伊佐庭如矢をはじめ町あげて、幾多の困難を克服して建設した道後温泉本館を中心に観光産業の基盤整備が図られ、現在の繁栄の基礎になっています。 これは、小説「坂の上の雲」に描かれている明治の時代の松山人の志、100年先の今日を見越した先見の明、地域に対する思いや限りない愛情から成り立っているものといえます。 道後地域では、平成4年に「道後温泉誇れるまちづくり推進協議会」を立ち上げて以来、様々な魅力あるまちづくりの取り組みを展開してきましたが、道後温泉入浴者数及び宿泊客数ともに依然低迷する厳しい現状にあり、会員、特に観光事業者は、国の重要文化財である道後温泉本館に依存し過ぎ、先人が遺した偉業・遺産を食い潰しているだけではないかとの反省を踏まえ、歴史文化の豊かさを如何に活かし次代に引継いでいくべきか模索している状況にあります。 21世紀は観光の時代、一方で地域間競争の時代と言われていますが、それはかつてのようにインフラ等の生産条件で競争するのではなく、景観をはじめ、まちの魅力で競う時代であり、価値ある文化的・空間的資源なくして地域の活性化は望めません。 今、取り組むべき課題は、住民や事業者がまちの景観の重要性を再認識して、自ら行動する自覚の醸成であり、また、美しいまちを作っていく具体的なプロセスを提示し、行動に移していくことです。 美しく文化的に豊かなまちの環境が人々の感性を磨き、それがおもてなしの心を育て、観光地としての心地よい時間と空間を絶えず創造、発信していく土壌となると思われます。つまり、まちの生活文化の高さや魅力が、市場価値を高め、観光産業、交流文化産業の発展の母体になってきていると思われます。 その意味においても、今こそ改めて設立の原点に立ち返り、道後温泉本館建設時や昭和31年の道後の内湯創設の際に見られる見識や情熱、不屈の行動力と結束力を持って、地域住民が誇りをもてるまちづくりを進め、温泉地再生に取り組まなくてはなりません。 そこで、当協議会が主体となって道後がさらに魅力ある地域となるよう、よりよい景観まちづくりを一層推進するため、100年後も誇りうる道後温泉を意識した「道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言『道後百年の“景”』」を宣言し、実現していきます。 21世紀の観光は、景観をはじめ街の魅力で競う地域間競争の時代。価値ある文化的・空間的資源なくして地域の活性化は望めません。 美しく文化的に豊かなまちの環境が人々の感性を磨き、おもてなしの心を育て、 観光としての心地よい時間と空間を創造、発信していく土壌になります。54③私たちは、まちの景観は公共のものであることを理解し、道後に居住する者並びに事業 つまり、街の生活文化の高さや魅力が、市場価値を高め、観光産業、交流文化産業の発展の母体となっていきます。 私たちは、地域住民が誇りを持てる美しく魅力的で活力のある都市型温泉郷空間の整備を目指し、本物を生かした歴史漂う景観づくりを進めるためにも道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言「道後百年の“景”」の着実な実現を目指してまいります。①私たち道後温泉地域の住民、事業者等の関係者は、自らを景観形成の主体と認識し、市民並びに行政の理解と協力のもとに地域一丸となり、三千年にわたる日本最古の温泉地としての風格を思い起こし、百年後においても誇れる「歴史漂う道後温泉景観」の実現に努めます。②私たちは、国際観光温泉文化都市・松山における道後温泉の将来像を「クラッシック&モダン・道後」とする合意のもと、伝統ある温泉地であることを再認識し先人の知恵に学び、知恵を活かし、湯の街情緒豊かで賑わいのある文化的空間、歴史と新しさが融合した景観を持つ美しい町並みの形成に努めます。を営む者の自覚と責任において、「日常の人の営みを魅力化」することが、「人の心を動かす魅力的な景観づくり」であることを常に意識し、まちづくりの原点である個人の美しい行動と美しい事業活動に努めます。④私たちは、道後温泉の景観に深い歴史性を表現するための象徴及び景観保全の核として、古代から今日にわたり各時代で愛されてきた温泉施設の復元に取り組み温泉と浪漫に浸り、道後そのものが体感でき、湯巡りも楽しめる「道後ブランド」を次代に継承発展させる景観づくりを進めます。⑤私たちは、景観形成は公益に深くかかわる行為であることを認識し、景観に影響を及ぼす様々な活動は、周辺との調和や地域の歴史文化等との融合を図りつつ、景観まちづくりへの理解と啓発に努め対話による社会的な合意と適正な制限の下で行います。⑥私たちは、目指すべき地域景観の将来像や景観形成に関する方針などについて、景観法に基づく景観計画の策定を行い、景観計画区域の指定を道後温泉本館及び道後温泉駅周辺エリアから段階的に導入し、具体的実行を図るとともに、さらには、地域住民全員の同意が必要となる景観協定による、まちづくりを進めます。⑦私たちは、地域住民の道後に対する誇りと来訪者に対する「おもてなしの心」を表現するものとして、「道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言」を着実に実現します。道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言「道後百年の“景”」3-1. 観光まちづくりのための空間整備戦略2006年(H18)6月策定資料3道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言「百年の“景”」採択

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