道後温泉2050ビジョン
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7道後温泉2050ビジョンDOGO 2050 VISION | 禁無断複製 | 2023 道後誇れるまちづくり推進協議会© 2-2. 道後まちづくりの歩みと成果[写真2-2]近年(2018-2020)建替えられた道後地域内の宿泊施設③地域歴史資源の活用と保全  「日本最古の温泉」という伝承を学術的に検証し、その真実性を目に見える形で発信する仕組みづくり④観光アクティビティ及び地域内連携・交流の促進まち協最初期の事業として、地域の宿泊事業者が各自施設の玄関先に宿泊者以外も自由に使える足湯を設置(計11箇所)。従来のように行政の補助を受けるのではなく、地域事業者自らが率先・連携してまちの魅力を生む取組を実現。また、より広い地域への働きかけとしては「坊っちゃん列車が走るまち松山」の実現を目指し、まち協内に特別委員会を設置して復元政策及び運行を広く市民に呼びかける運動を展開し、松山市の強力と㈱伊予鉄道の英断により実現したほか、朝市や季節の祭り振興、地元大学や地域の児童・若者との交流・協力事業にも積極的に携わっている。⑤現代的文脈に応じた新しいコンテンツの開発・実行“最古にして最先端”をテーマに国内外の芸術家を招いて官民一体で実施した体験型アートイベント『道後オンセナート』(2014 道後温泉本館改築120年記念事業)にはじまる一連の<温泉×アート>や<温泉×音楽>イベントの実行、10を超えるコースで道後周辺散策を楽しむ有料プログラム「松山はいく」の事業化、観光庁の『誘客多角化のための魅力的な滞在コンテンツ造成』実証実験として飛鳥乃湯泉中庭を舞台に開催した『道後・音舞台』(2021)など、現代の観光ニーズ・シーズに応じた新しい地域の魅力づくりに取り組んできた。同様の発想から歴史・伝統を現代の文脈に結びつけたプロジェクトとして、歴史的入浴スタイルの復元とハンディキャップのある方への配慮や国際対応を結びつけた『道後湯帳』の開発(前述の『女帝の湯復元プロジェクト』と連動し、㈱帝人フロンティアと4年を費やして実現)などがある [写真2-3]。[写真2-3]「道後湯帳」プロジェクト本ビジョン策定の主体であるまち協の概要については既に<1-2> で記したが、ここでは同協議会及び松山市の取組みを中心とするこれまでのまちづくりの歩み及びその成果を簡単に振り返っておく(※ここでは記載を省略した各項の詳細については別紙資料を参照)。まず、まち協設立以来30年の取組みは以下の5つの項目にまとめることができる。①地域一体となった取組みの基盤整備・方向性の明確化平成6年(1992)、平成14年(2002)、平成18年(2006)の3度にわたり地域としてのビジョンを取りまとめ、特に平成18年の『道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言 道後百年の”景”』では住民一人ひとりが美しい街並みを形成するための行動指針、将来に向け湯のまち情緒豊かで賑わいのある歴史文化と新しさが融合した景観をもつ道後を地域の自助努力でつくる意思と望ましい変化の具体的イメージを明確にし、その後の取組みに強力な基盤を提供した。②まちの景観整備と官民の施設整備・更新官民協働で行った道後温泉本館周辺の道路付替えによる賑わい空間創出(2007)を皮切りに、古代にまで遡る道後の歴史性の表現と景観保全、湯巡り・まち歩きの核づくりを一体化した『歴史的温泉施設郡』整備構想に基づく第三の外湯『道後飛鳥乃湯泉』の新設など、大小のプロジェクトを実現。より地道な事業としては散策ルートとなる域内道路や公共空間の整備・改良にも継続的に取り組んでおり、最近行われた上人坂の整は伊月庵、上人坂テラス、上人坂ハナレなどの新しい民間施設誕生の呼び水となるなど、官民の投資の好循環を生み出している。また、域内の宿泊施設5軒が耐震改修促進法に基づく建替え(2018-2020、総投資額90億円超 [写2-2]を)を実施し、それぞれが地域景観に配慮した個性的な施設へと変貌、多様化する観光・宿泊ニーズに応える商品価値向上へとつなげている。に取り組んだ『女帝の湯復元プロジェクト』(2010)、女性や若者が楽しみながら道後の歴史文化に気軽に触れる機会を生み出す『道後温泉開運巡り』の展開(2013~)など、地域の歴史資源を現代の文脈に埋め込んで発信・活用。また、2013年に宝厳寺が焼失した際には地域ぐるみで一遍上人にちなんだ『もういっぺんプロジェクト』を実施、寄付募集や開運グッズ販売、境内でのイベント開催により資金調達を支援し、3年余という奇跡的スピードでの再建を実現した。その他、地域の歴史文化への理解を深めるための勉強会を定期的に開催するなど、歴史資源を広く共有して将来につなげるための活動にも力を入れてきた。2.松山道後を取り巻く環境変化と観光の現状

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